オリンピックやサッカー・ワールドカップ大会を想定した4K放送の普及、カメラやスマートフォン(スマホ)の4K化、ケーブルテレビの光伝送化の普及などにより、大容量データを扱うソース情報があふれてきています。そして、それらを伝送するためのもシステムの高速化が求められています。さらに、4Kから8Kへの高精細化やIoT化に伴う次世代通信規格である5Gの開発、ビックデータを活用した人工知能(AI)技術の進化、車載センサーを用いた自動運転の開発、医療分野における病理の診断や手術の技術向上のための高精度画像の活用など、様々な分野において高速化のニーズは高まることが予想されます。一方、データ伝送の高速化により消費電力が増加するため、消費電力を抑えるための低電圧化も同時に行うことが求められています。このような技術を下支えするのが、高速インターフェース設計を行うための、SI(Signal Integrity)解析技術、低電圧化を実現するためのPI(Power Integrity)解析技術、外来ノイズからの影響を最小化し、さらに自身もノイズを放射しないためのEMC(Electro-Magnetic Compatibility)解析技術です。弊社ではこれらの3つの解析技術を融合させた設計最適化のソリューションにより、お客様の高品質な設計およびタイムリーな製品開発に貢献します。
信号の伝送速度は10Gビット/秒を超え、高周波固有の信号の減衰は、より顕著になっています。LSIからの引き出し部、線長調整のためのミアンダ配線、ビアや部品の実装パッドなどの微小な配線経路上のインピーダンスの不連続さえも、無視できなくなってきます。また、周波数、温度、基板各層の比誘電率のばらつきなども顕在化してきています。
一方、電源電圧は1.0Vを下回り、電源電圧の揺れに対する許容度がますます厳しくなっています。また、入出力バッファーの同時動作によって、信号波形にひずみが生じる同時スイッチングノイズの影響が顕著になります。その結果、アナログ電源やPLL電源のような、ノイズ感度が高い電源へのノイズ伝搬に起因する問題も発生しています。さらに、大電流化のために、DCドロップやそれに伴う熱の問題も顕在しています。 さらに、同一製品にWi-Fi、GPS、3Gなどの受信アンテナとLSIやモーターからのノイズ源が同居することから、自己干渉による受信感度の低下なども問題になってきています。こうしたトラブルは、製品として出来上がった後に解決しようとすると、かなり多くの時間が必要になってしまう。このため、設計の上流段階から解析技術を用いたノイズ設計(フロントローディングノイズ設計)を用いることで、試作回数の低減や対策期間の短縮を図ることが期待されるようになってきました。 フロントローディングノイズ設計によって課題を適切に解決するためには、SI(Signal Integrity)、PI(Power Integrity)、EMC(Electro-Magnetic Compatibility)の3つが包含した幅広い技術を必要とします。
高速な演算処理を行うために欠かせないメモリーインターフェースにおいても、DDR3からLPDDR3、DDR4、LPDDR4へとより高速化、低消費電力化のために低電圧化だけでなく、終端方式をテブナン終端からプルアップ終端方式に変更したり、データ送信ビットにDBI(Data Bus Inversion)ビットを付加する技術の採用などが進んでおります。
DDR系は、高速処理のために多くの信号が同時にオン/オフするため、クロストークの問題や同時スイッチングノイズによる電源変動による波形ひずみとタイミング変動の問題がこれまでも数多く発生しています。これらの影響度が、高速化と低電圧化によって、さらに大きくなってきています。
また、カメラのイメージセンサーで受けた画像データを伝送するために使用されるインターフェースも、2Gビット/秒を超える高速伝送になっています。MIPIに代表されるCSI-2やSLVS-ECなどのインターフェースです。同時に、低消費電力化のための低電圧化も進んでいます。
更に、4Kや今後登場する8Kの画像伝送に使われる12G-SDIインターフェースを搭載したシステム開発が増えてきました。12-SDIをはじめ、3G-SDIやHD-SDIなどのSDI規格は、SMPTEによって規定された信号品質規格に準拠しなければなりません。その中でも特にリターンロス規格の準拠が難しく、これらの信号品質規格が満たせるまで何度も設計をやり直す必要が生じます。
車載系の分野においても、今後の自動運転システムなどの普及に伴い、さらなる高速伝送が求められます。同時に、民生品と比較して高い信頼性の確保や外部放射ノイズ、伝導ノイズ、イミュニティーなどへの厳しい対応が必要になります。また、静電気などからの電子機器への保護も重要な課題となっています。
以下に弊社の経験した過去の高速インターフェースと今後予定を記載しました。(2018年2月現在)
弊社では、最先端の高速インタフェースを先駆けて技術集積させ、お客様の設計リスクを最小化し、低TATでの製品出荷に貢献します。
設計解析ソリューション統括部
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