中期経営計画

トップインタビュー 代表取締役社長 大塚信行

2023年度の業績について

事業ごとの明暗がありながらも前期比で営業増益を達成しました。

2023年度の連結業績は前期比で営業増益を達成しました。自社製CPUボードやクラウド決済ステムなどのシステム・サービス事業が好調に推移したほか、半導体設計関連事業のEDAソフトウェアも堅調だった一方で、テストソリューション事業は、テスター需要の回復が遅れていることから減益となりました。2022年度の下期から続く半導体市況の悪化により、半導体の在庫水準が高止まりしたことで、半導体製造工場の稼働率が落ち込み、テストソリューション事業の業績が影響を受けました。

しかし、こうした厳しいビジネス環境下にあっても一定の業績を達成できたことは、当社グループの経営基盤の底堅さを示しているのではないかと考えています。

前中期経営計画(2019年度~2023年度)の成果と課題について

自社製品売上比率の向上やグループ間の協創・協働など長期的成長につながる成果がありました。

前中期経営計画では数値目標としてROE8%を掲げました。2021年度に10.4%となり単年度では目標を達成したものの、2022年度、2023年度は、半導体市況の落ち込みや投資有価証券評価損による特別損失計上の影響から8%を下回り、結果として安定的な収益力の構築には至りませんでした。新中期経営計画では、ROE10%を目標として収益性と投資効率を向上させていくとともに、8%以上を安定的に維持できるよう戦略を構築していきます。

一方で、前中期経営計画における成果もありました。その一つは自社製品売上比率の向上です。

前中期経営計画期間中に右肩上がりの伸びを見せ、2019年度の68.9%から、2023年度には74.9%となりました。これは商社型ビジネスを縮小した結果ではなく、メーカー機能が強化され、製品ラインナップが増えたことや海外を含めた顧客基盤が拡大したためです。

また、グループ内における事業部門や会社の壁を越えた協創・協働が営業販売活動やサービスの面で徐々に具現化し、それが業績に反映されてきたことも成果の一つです。新中期経営計画では、さらなる製品開発や付加価値向上に取り組み、お客様の課題解決と当社の収益性向上に資する新製品やサービスへ繋げたいと思います。

新中期経営計画(2024年度~2026年度)の考え方や施策について

新たなビジョンのもと、イノテックならではの価値提供を推進します。

2024年度からスタートする新中期経営計画の策定にあたっては、新たに「未来を変えテック、イノテック」というビジョンを掲げました。このビジョンでは、お客様に寄り添い、未来を変える技術革新へチャレンジしていく、という当社のスタンスを明確にしました。当社ならではの高付加価値製品やサービスを提供し、お客様の課題を解決することで、当社の持続的な成長、ひいては社会課題解決の貢献につながると考えています。

新中期経営計画では、「営業利益率の向上」、「業績の安定性向上」とともに「事業ポートフォリオの最適化」を戦略に掲げました。注力すべき成長分野を見定めたうえで事業ポートフォリオを見直し、成長分野へ集中的に投入できるように経営資源の再配分を検討していきます。

また、サステナビリティ推進のため、5つのマテリアリティの重点テーマに設定したKPI達成に取り組んでいきます。ここ数年は、賃上げを含む人的資本への投資が社会の注目を集めています。私自身、従業員の持つ能力や経験、スキルこそがまさしく投資する価値のある資本だと考えています。引き続きダイバーシティの推進に取り組むほか、人材確保・育成、報酬制度の見直しや福利厚生の拡充についても意欲的に行っていく予定です。

株主・投資家の皆様へのメッセージについて

半導体・エレクトロニクス業界の一翼を担う企業として財務・非財務両面の企業価値向上を図ります。

半導体は、今や国の社会基盤や安全保障を支える戦略物資として、世界各国で政府による産業振興や投資が活発に行われています。これは当社のビジネスにとって非常にポジティブな流れであり、長期的な成長が期待できるという確信を持っています。当社グループは、この時流に乗って成長していくために、事業戦略、財務戦略、サステナビリティ推進を有機的に結びつけ、長期的かつ持続的な企業価値の向上と社会への貢献に努めてまいります。

株主の皆様には、引き続き変わらぬご支援とご協力を賜りますよう、お願い申し上げます。

2024年6月

代表取締役 社長執行役員大塚 信行